【インターン体験談】蕎麦屋の息子がインドでテント販売に挑戦!経営者を目指すあなたへ
2016年11月14日
□親が会社を経営しているけど、家業を継ぐかどうか悩んでいる人
□経営に興味があるけど、何から始めて良いのか分からない人
□経営者としてのノウハウを実践的に学べる場所を探している人
———————————————
「学生起業家」や「若手経営者」と言った言葉を耳にすることも少なくない現代。「自分も経営者になりたい!けど、何から始めたら良いの?」なんて思っている学生の方もいるのではないだろうか。そんなあなたに紹介したいのが、名古屋の丸八テント商会でインターンシップをしている大学4年生の牧野さんだ。
丸八テント商会は、カフェ、ショッピングモール、ドーム球場、工事現場など、様々な場面で使われるテントを作っている会社で、設計から現場まで全てオーダーメイドで作れるのが強みだ。蕎麦屋の両親を持つ牧野さんは、そんな丸八テントで社長の右腕としてテント販売業務に携わり、なんとインド事業まで担当しているという強者。
学生なのにどうやって社長の右腕に?
インド事業って一体どんなことするの?
そもそも、蕎麦とテントに一体どんな関係が…!?
驚きの経歴を持つ牧野さんの活動と、その熱い内面に迫ってみよう。
愛知県立大学外国語学部英米学科4年生。大学3年生の時に1年間休学してカナダへ。帰国後、丸八テントの佐藤社長と運命的な出会いを果たし、インターンシップを始める。趣味はバスケとツーリング。
目次
◆「俺、蕎麦屋やん」経営者を目指し始めたきっかけ
◆「一体何なんだこの会社は!?」丸八テント佐藤社長との出会い
◆「なんだかよく分からないけどとりあえずやってみよう」出張!インドへGO!
◆「がむしゃらに、楽しく、どっぷりと」丸八テントと牧野さんのこれから
◆「チャンスは自分で掴もう」経営者を目指す学生へのアドバイス
———————————————
◆「俺、蕎麦屋やん」経営者を目指し始めたきっかけ
「英語はあくまでツールでしかないから。英語を使って何か内容のあることがしたいと思ってた。」
もともと英語が好きで、大学でも外国語を専攻している牧野さん。自分の得意分野を活かせる道を模索するため、大学3年生の春から1年間カナダへ留学した。ところが、現地で様々な国の出身の人と交流を深めていく中で、衝撃的な文化の違いを体験することになる。
「一緒に住んでたカナダ人のお母さんが、1歳の子どもに普通にポテチとか食べさせてて。ちゃんと料理しないの!?って驚いた。」
ファストフードが根付いた北米の食文化は、日本では考えられないものだった。小さい頃からファストフードやジャンクフードに囲まれていると、その食生活が当たり前になってしまう。飲食業を間近で見て育った牧野さんにとっては特に深刻な問題だ。どうにかならないものかと考え続け、帰国も間近に迫った頃にふと気がついた。
「そういえば俺、蕎麦屋やん。自分が実家の蕎麦屋を継いで、世界に日本の食文化を広めていくのもアリかな。」
語学学校で英語を学び、現地のインターンも経験したが、帰国後の目標が定まらずに漠然とした不安と焦りを感じていた矢先のことだった。ただ学生をやっているだけでは蕎麦屋は継げない。留学が終わったら、経営者になるために行動を起こそう。新たな決意と共に、彼のカナダ留学は幕を閉じた。
◆「一体何なんだこの会社は!?」丸八テント佐藤社長との出会い
日本に帰ってきてまず体験したのが、逆カルチャーショックだった。自由でフレンドリーなカナダ人とは打って変わり、事務的でどこか他人行儀な日本人。和を重んじすぎる風潮が窮屈に感じたそうだ。
「日本おもんねーなぁ……」
それでも、自分には経営者になるという目標がある。ここから一歩踏み出さなければ始まらない。そうして4月に始めた大学のプロジェクトで、たまたま丸八テント商会へ取材を行うことになった。実際に社長と会って話を聞ける絶好のチャンスだ、経営者として多くのものを学べるはず。そう意気込んでいた牧野さんを迎えてくれたのは、社長、社員さん、そして当時のインターン生たちだった。取材を始めて、まず驚きの事実を知ることになる。
「人事も経理も海外事業もインターン生がやってるって、一体何なんだこの会社は!?」
丸八テント商会では4年半前からインターン生の受け入れをしている。他の会社では、イベント運営や広報活動など若者ならではの視点や感性を活かせるインターンシップが多いが、なんとこの会社では社内の中心的な業務を学生たちが担っているのだ。時間もお金も投資して、多くの機会を学生に与えてくれる佐藤社長の懐の大きさは驚嘆に値するものだった。
しかし、この社長のすごいところはそれだけではない。社長への取材が一通り終わったと思ったら、今度は牧野さんへの逆取材が始まったのだ。
「蕎麦屋を継ぎたいって話を社長にしたら、その場で『これやったら?』『あれやったら?』ってアイディアがポンポン出てきて。ビビッときた。」
佐藤社長の人柄にすっかり惚れ込んでしまった牧野さんは、その時には丸八テントでインターンをする決心をほぼ固めていたそうだ。その後のインターンシップフェアで丸八テントの魅力を再確認し、夏休み開始と共に彼のインターンシップがスタートした。
◆「なんだかよく分からないけどとりあえずやってみよう」出張!インドへGO!
意欲満々で始めたインターンシップ。最初の一ヶ月は、会社のことを知るためにも、とにかく丸八テントにどっぷり浸かる日々だった。具体的な業務内容は取引先や製品についての勉強、電話取り、ブログ更新などの日常業務。そのすべてが新鮮で面白く感じたという。
そしてなんとインターン開始二ヶ月目にしてインド出張へ。
目的は、インドでの製品販売ルートの確立と、将来日本で働けるインド人人材の確保のため。牧野さんはこの出張で、現地のビジネススクールに通うインド人学生たちへ英語でプレゼンをすることを任された。英語力には自身があるとはいえ、営業経験の全くない学生が突然海外営業をすることになったのである。一体どのような心持ちで臨んだのだろうか。
「なぜ社歴2ヶ月の自分が会社を背負ってインドへ出張に行くのか、自分でも不思議な感覚だった。でも、『やるしかないな』とは感じていて。失うものは何にもないから、当たって砕けろの精神で。」
牧野さんのこのチャレンジ精神は、「まずはやってみろ、やってみて考えながら行動しろ」という佐藤社長の言葉から学んだものだという。初めは自分のスキルを高めるために行っていたインターンシップだったが、会社や社長に様々なものを与えてもらうたびに、会社への感謝の気持ちが大きくなり、次第に「自分も会社に何か返せるようになりたい」と思うようになっていったそうだ。
結果として、初のインド出張は成功に終わり、その時出会った2人のインド人学生をインターン生として採用することになった。スカイプを通して日本語教育や製品の説明を行ったり、インドでのマーケティング調査を任せたりしているそうだ。彼らを教育する中で自分が学ぶことも増え、営業トークにもさらに磨きがかかっていったという。さらに4か月後、2度目のインド出張を行った際にも、持ち前の英語力と営業力で現地の学生に熱い胸の内を語ってきた。
「国内でくすぶってんじゃねーぞ。世界へ羽ばたけ!!」
人口13億人もの競争社会であるインドで、他人との差別化を図るのは容易ではない。だからこそ、目の前にあるチャンスを掴みとっていかなければ、人生を変えることはできない。これは、学生インターンの身でありながら色んな世界に飛び込んでいった牧野さんだからこそ言える言葉だろう。現地の学生たちにも、それを体現していった彼の言葉は重く響いたに違いない
◆「がむしゃらに、楽しく、どっぷりと」丸八テントと牧野さんのこれから
海外営業や人材育成など、丸八テントで様々な活躍をしている牧野さん。今後の事業面での目標は、インドで継続的に売上を作る仕組みを整え、海外での初売上を出すことだ。今はまだ準備段階にあるこの事業を、今後3〜4年かけて完成させていきたいという。決して楽な仕事ではないし、激務が続くことも多いそうだが、それをどんなモチベーションで乗り越えているのだろうか。
「楽しく生きる。なんでも楽しみたい。」
丸八テントで楽しそうに働く社長や仲間の姿に憧れ、自分もこんな風になりたいと思ったのがすべての始まりだった。ものづくりの楽しさや働くことのやりがいを教えてくれた周りの人々の生き方が、彼の原動力の一つとなっているのだ。
牧野さんのインターンシップは順風満帆のように思われるが、自己評価を聞いてみると「40点」という意外な答えが返ってきた。今でも、製品の知識不足に対して鋭い指摘を受けたり、目先のことに手一杯になってしまったり、相手の言葉の真意を読み取ることが苦手だったりと、自分の中でまだまだ課題があるそうだ。「自分がすごいんじゃなくて、会社がすごいんだ」と語る牧野さん。今まで社長や周りの人々に支えてもらっていたのを、今度は自分がリードできる立場になれるように、更なる成長を重ねていくつもりだ。
「将来の目標は、インド事業を成功させること、蕎麦屋を継ぐこと。あと、庭にバスケットゴールのある家で暮らすこと(笑)。それを叶えるためにも、今はがむしゃらに、楽しく、どっぷりと働いていきたい。」
◆「チャンスは自分で掴もう」経営者を目指す学生へのアドバイス
最後に、これから経営者を目指す人へ向けて、牧野さんからのアドバイスをいただいた。
「今やりたいことがあるだとか、現状に満足していないという人たちには、その気持ちからもう一歩だけ踏み出して、挑戦してみてほしい。僕自身、『やりたいと思ったらすぐ行動』を実践してきたから、今の自分がここにいる。まだ学生なんだから、失敗を恐れて怖気づく必要なんてない。チャンスは常に自分の周りにある。変わりたいのなら、チャンスは自分で掴もう!」
———————————————
インターン生と共に時代の最先端を走り続ける社長や、どんな時も真剣に事業に取り組むホンキの学生たち。「そんな人たちと出会ってみたい、そんな人たちの隣で働いてみたい!」と思ったそこのあなたへ。